愛犬が嘔吐した時の原因と対処法をケースごとに解説
狭山市、入間市、川越市の飼い主の皆様、こんにちは。
狭山市のパスカル動物病院狭山です。
今回は犬の嘔吐について、解説していきます。
直立歩行の人間と異なり消化管(食道)がほぼ水平の犬は吐きやすいものです。
とは言え、いきなり飼い犬が吐いてしまうと不安になってしまうでしょう。犬の吐く原因には生理的なものから病的なものまで様々ですが、それらについて解説したいと思います。
吐いたものや色の確認
犬が吐いたものや、その色を確認してみましょう。病院に連れて行くかどうかの目安になります。
・毛玉を吐いた
毛の生え替わりの時期には抜けた毛を飲み込んでしまうことがあり、胃に溜まった毛を吐くことがあります。
予防のためにはまめなブラッシングと抜け落ちた毛の掃除が重要です。
・黄色い液体を吐いた
朝方など食事の前に黄色みを帯びた液体を吐くことがあります。これは胆汁で、胃が長時間空っぽになると胆汁が胃に逆流し吐いてしまうのです。これを予防するには空腹状態が長時間にならない様にすることです。1日にあげるご飯の回数を増やすたり、食事の間隔や時間帯を調整してみてください。
・透明な液体や泡を吐いた
透明な液体の場合、胃液の可能性が考えられます。胆汁を吐くときと同じように空腹状態が長く続くと胃液を吐くことがあります。
食事の回数や間隔を調整してみてください。
また、たくさんの水を一気に飲んだ場合にも、飲み終わった後に吐いてしまうことがあります。散歩から帰ってきた後などに起こりやすいのでがぶ飲みしないように見守ってください。
口の周りにぶくぶくと泡を吐くのは、車酔いや極度の緊張・興奮によるものが考えられます。車酔いの場合には、こまめに休憩を取ったり、長時間の移動が不安な場合には酔い止めの薬を飲ませるのがよいでしょう。極度の緊張や興奮によるものであれば気持ちが落ち着く状況を作ってあげましょう。
・茶色や赤色の液体を吐いた
茶色の液体の場合、古い血液が混ざっている可能性があります。胃潰瘍や胃腸炎による出血が消化液により酸化して茶色に変色します。
赤色の液体は鮮血が考えられます。肺や気管支などの呼吸器、口腔内、食道など広い範囲からの出血が考えられます。
いずれの場合にも何らかの疾患や傷害の可能性があるので受診することをお勧めします。
・異物が混じっている
フードやおやつ以外のものが嘔吐したものに混ざっていた場合には誤食や誤飲の可能性があります。放っていた場合、誤食・飲したものによっては中毒や腸閉塞、腹膜炎など命を落とす可能性もあります。吐いたものを持って受診してください。
すぐにでも受診すべき嘔吐
いくら人と比べて吐きやすいとは言っても、次のような場合には注意が必要です。
・嘔吐を繰り返す、続く
犬の消化器で炎症などを起こすと嘔吐が見られます。急性炎症を起こすと、激しく何度も嘔吐し、慢性的な疾患の場合には長期に渡って嘔吐を繰り返します。胃腸の炎症はもちろんですが、膵臓の炎症も嘔吐を引き起こす代表的な炎症性疾患です。
消化器以外による疾患として、陣疾患による血中尿素窒素値の上昇や、肝疾患による血中アンモニア値の上昇などにより嘔吐が引き起こされることがあります。
・吐きたいのに吐き出せない
吐こうとしているのに吐き出せないことの原因として考えられるのは胃拡張・胃捻転症候群の可能性が考えられます。大型犬・超大型犬で見られる病気であり、食後に急激に発症することが多く、処置が遅れると命に関わることもあります。
犬の嘔吐の治療法
異物による嘔吐の可能性がなければ、吐き気止めの薬を使い、嘔吐の原因となる疾患に応じた治療をします。
また、脱水が認められる場合には皮下点滴などにより水分補給を行います。
まとめ
犬の嘔吐はよく見受けられるトラブルと言えますが、頻繁な嘔吐は体力の消耗や脱水にもつながります。
嘔吐の原因がなんなのか、日頃から愛犬の様子を観察し、緊急性を判断する基本的な知識を持つことも重要でしょう。
ご自身での判断が難しい場合もありますので、お困りの際はすぐにご相談ください。