犬の白内障の原因と治療について解説

狭山市、入間市、川越市の飼い主の皆様、こんにちは。狭山市のパスカル動物病院狭山です。今回は犬の白内障について解説していきます。

 

白内障とは

目の中でレンズの役割を果たしている構造物を、水晶体と言いますが、この水晶体が何らかの原因で白く濁った状態を白内障と呼びます。この白濁は不可逆的(元に戻らないこと)なため、一度白くなってしまった目は元には戻りません。白濁の範囲が広がってくると、視覚に影響が出てきて、やがては目が見えない状態になります。

 

症状

白内障は、白濁の範囲・進行の度合いによって、①初発白内障、②未熟白内障、③成獣白内障、④過熟白内障の4段階に分けられます。

 

白内障の初期の段階では、日常生活での支障がほとんどなく、通常の診察では白くなっていることに気づきません。ただし、白内障が遺伝性で、網膜に異常がある場合には、夜になると見えづらくなる症状(夜盲症)が出ることがあります。薄暗い環境下で動きたがらない、 物にぶつかるなどの症状がある場合には、白内障の始まるサインかもしれません。

 

白内障が進行すると、水晶体全体に白濁が広がり、視覚に影響が出始めます。見た目にもそれとわかるぐらい、目が白くなってきます。また水晶体の萎縮や、硬化も現れてくるため、目の構造自体が崩れてくることがあります。

 

白内障の原因

犬では白内障の多くは加齢あるいは遺伝によるものです。ただし、これ以外にも様々な原因があり、外傷や薬剤、糖尿病などの全身性疾患に併発して起こることもあります。原因が多岐にわたるため、どの犬種にも起こる可能性がありますが、アニコムの家庭動物白書では、トイプードル、ヨークシャーテリア、柴犬、シーズー、ゴールデンレトリーバーなどが白内障に罹患しやすいと言われています。

 

白内障の治療

白内障の治療には、内科的治療と外科的治療があります。内科的な治療は点眼薬やサプリメントによるものですが、あくまでも進行を遅らせるものでしかありません。

白内障の根本的な治療のためには外科的治療(手術)が必要になります。具体的には混濁した水晶体を破砕・吸引し、人工レンズを挿入する手術になります。ただし、網膜にも異常がある場合には、手術をしても視力が回復することはないため、手術適用外になります。手術を希望する場合には、網膜の異常の有無を確認する必要があります。ただし、この検査および手術は特殊な機器を必要とするため、眼科専門医を受診する必要があります。

 

まとめ

白内障は、年月をかけてゆっくり進行する場合が多く、完治には手術が必要になります。ただし、点眼薬やサプリメントで進行を遅らせることはできます。また、犬はもともと生活の多くを視覚ではなく、嗅覚や聴覚などに頼って暮らしているため、おうちでのケアも合わせれば、病気を抱えていても快適な暮らしを送ることができます。日頃から愛犬の目の様子や行動に異常がないかどうか見守ってあげましょう。