犬の便秘の原因と予防法について解説

狭山市、入間市、川越市の飼い主の皆様、こんにちは。

狭山市のパスカル動物病院狭山です。

 

今回は犬の便秘について、解説していきます。

犬も人と同じように便秘になることがあります。その原因は生活環境の変化や、病気が原因となるものなど様々です。便秘を起こしやすくなる生活環境や日常生活の中でできる予防方法などにつて解説したいと思います。

 

正常な排便回数の目安

犬の排便の回数は、普段の食事に含まれる繊維質の量や体格、年齢、一日の運動量などによって左右され明確な基準はありませんが、およそ一日に2から5回というのを目安と考えるとよいでしょう。なお、食物繊維の量が多くなると排便回数も増加します。また、適度な運動は腸の働きを活発にするため排便回数は増えますが、過度の運動や運動不足は腸の働きを抑えてしまうため排便回数が減ってきます。

 

便秘の判断基準

犬の排便回数に明確な基準はなく、便秘についても明確な基準というものはありませんが、便秘の際に現れる兆候はあります。排便の回数が普段と比べて減っていないか、いきんでる時間が多くないか、便が異常に硬く水分のない状態になっていないかなど日常的に観察することで便秘の兆候を確認できます。こうした状態が見られたり、排便が数日ない状態が見られる場合には便秘と考えてよいでしょう。

 

便秘の原因

運動不足

犬が運動不足だと消化管の動きが悪くなり便秘になることがあります。大腸は便を肛門へと送る蠕動運動をしていますが、この運動が不十分だと大腸に便が溜まっていきます。大腸では便の水分吸収が行われているため、長くとどまっていると便の水分が失われ堅い便になります。その結果、犬が便秘になることがあります。

 

加齢による筋力の低下

犬も加齢により筋力が衰えてきます。老犬になって排便に必要な筋力が低下すると便秘になることがあります。

 

食べ物による影響や水分不足

フードが合わなかったり、食物繊維の過剰な摂取、水分の不足から、便が硬くなり便秘になることがあります。慢性腎不全の猫では、多尿により水分不足になり便秘になることがあります。

 

自律神経の乱れ

生活環境の変化によるストレスから自律神経のバランスが乱れると、大腸の緊張により蠕動運動がうまく働かず、便秘になることがあります。

 

病気が原因の便秘

痛みを生じさせるもの

肛門周囲に傷ができたり、肛門腺の炎症が起こったりすると痛みのために排便を我慢することがあります。骨盤や後肢の骨折、関節炎などの場合も痛みで踏ん張ることができずに便秘になることがあります。そのほかに排便時に痛みを生じさせるものには直腸内の異物や腫瘍があります。

 

消化管の閉塞による通過障害

閉塞による通過障害は、誤飲誤食、ヘルニア、腫瘍、前立腺肥大などで起こります。

 

便秘の予防方法

適度な運動

適度な運動は腸の動きを活発に知るだけでなく、運動によりストレスが軽減されることで腸の機能をコントロールしている自律神経のバランスが整い、便秘の予防につながるでしょう。通常は普段の散歩で十分ですが、狩猟犬や牧羊犬などの運動量が必要な犬種では、十分に走り回る機会も与えてあげましょう。

 

食事内容の見直しや水分の摂取

適度な食物繊維を含んだフードを与えるようにしましょう。特に可溶性繊維は犬にとって重要で便をしっとりとさせるだけでなく、腸内細菌のいわゆる善玉菌の増殖を促します。

便が硬い場合には、水分不足から便秘になりやすい状態であると考えられます。この場合、便を軟らかくするために、多めに水分をとらせるようにしましょう。常に新鮮な水を用意したり、ドライフードをお湯やスープでふやかしたり、ドライフードにウェットフードを混ぜて与えるのもよいでしょう。

 

まとめ

犬に排便がなくても、元気や食欲があるのであれば少し様子を見てもよいでしょう。しかし、いきみや激しい腹痛、嘔吐などの症状がある場合には病気が隠れている可能性もあるため早めの受診をお勧めします。